2021.01.25

著名建築家が設計した「Bird Kettle」。
お湯が沸騰すると、注ぎ口の小鳥が鳴きます

昨年の12月中旬ごろ、キッチンのガス台を掃除していたら、やかんがずいぶん汚くなったのが気になり、新年に新しいものに変えたいと、ふと思いました。そのとき使っていたのは、ステンレスのシンプルなやかん。お手入れはラクだけど、ずいぶん焦げついてきました。
やかん、というと私が忘れられないのが、この前に使っていた、ALESSI(アレッシー)社の
「Bird Kettle(バードケトル)」。20年以上前ににミラノに行ったとき、ALESSI ショップで一目惚れして、日本まで抱えて持ってきました。

 バランスのとれた美しい円錐形で、ケトルの口元に小鳥のホイッスルが付いているのが特徴で、お湯が沸騰すると小鳥(ホイッスル)が鳴き、知らせてくれます。私はキッチングッズや雑貨などを買うとき、なるべくつくった人、デザインをした人の顔がわかるものを
選ぶようにしています。この「Bird Kettle」をデザインしたアメリカ合衆国の建築家、マイケル・グレイヴスなら、私も知っていました。

  グレイヴスは、1934年インディアナ州インディアナ生まれ。ハーバート大学で修士号を取得。ポストモダン建築を代表する建築家のひとりで、20世紀後半の建築に大きな影響を与えました。1960年代半ばから20世紀の終わりまで、もっとも多作で著名なアメリカ建築家のひとりだったと言えると思います。オレゴン州ポートランドのダウンタウンにある15階建ての市庁舎「ポートランド・ビル」はグレイヴスの代表作でしょう。「カスミつくばセンター」「ファミール月島グランスイートタワー」など、日本でも8つの建築物を残しています。

グレイヴスは、建築に加えて、消費者向け商品のプロダクトデザイナーでもありました。1980年代初頭、グレイブスはポストモダンデザイングループ「メンフィス」のメンバーになりました。そして、イタリアの高級キッチン用品メーカー「ALESSI」と提携。1982年
ALESSIのスターリングシルバー・ティーサービス・セットを設計&デザイン。25,000ドルという高額にもかかわらず、大成功。たくさん売れました。当時の社長、アルベルト・アレッシーは、今度は手頃な値段のケトルを設計するように依頼します。そして完成したのが1985年の発売以来、世界じゅうで愛され、ALESSIの人気モデルとなった「Bird Kettle(バードケトル)9093」。ポストモダン建築家のグレイヴスらしい、遊び心たっぷりのケトルは、発売から35年以上経った今も、ショーウィンドウに並ぶロングセラーとなっています。

 私が最初に買ったBard Kettleはやかんの注ぎ口に、赤い鳥の形の笛を備え、ハンドルにはブルーのグリップが付いていました。これがBard kettleの原型です。現在は注ぎ口の鳥やグリップ部分が白や黒のものも。私は今回は、鳥やグリップが白のものを選びました。大掃除したガス台に、白の小鳥がたたずむBard Kettleを置いてみると、美しい円錐形のボディとかわいい白い鳥が強調され、まさにキッチンの楽しいアクセントに。大満足です。

 もちろん機能性も兼ね備えています。底面が広いので、お湯が沸くのが早いし、固定式のハンドルは安定感があり、グリップ部分は持ちやすい角度でお湯が注ぎやすい。IHにも対応しています。やかんがピカピカになったら、今度はお鍋が汚く見え、お鍋も変えたくなりました。2021年の元旦から使い始めた2代目のBird Kettle。大切に使っていきます。