2021.11.02

nendoデザインのお箸で食事をしながら、
2002年のミラノ・サローネを思い出してます。
若きデザイナーの登竜門「サテリテ」で出会った
若き佐藤オオキ&nendoの作品になぜか可能性を感じた!

少し前に、nendoのネットショッピング(nendohouse)で、お箸「hsnataba」を注文。1週間前には着いていたのですが、11月1日から使っています。2代目です。1代目は、何年か前にnendoの制作発表会に行って、お土産にいただきました。小さなお土産だな、と思って開けてみたら、かわいいお箸で、早速使わせていただきました。普通のお箸のように、丸い形状ではなく、「ヒダ」のような形状で滑りにくく、使いやすくて、とても気に入っていました。が、なんせ何年も使ったので、きたならしくなり、新調したのです。

  福井県小浜市は400年あまり続く塗箸の産地で、江戸時代初期に「若狭塗」と命名されて以来、日本一堅牢優美な塗箸と称されてきたそうですが、その伝統技術を現代に継承する「箸蔵まつかん」とのコラボレーションによって生まれた箸だそうです。そして丸い形状の箸は滑りやすく、角張ると持ち心地が悪くなる。いかにして「手に触れる表面積を増やす」ことで快適な持ち心地と使いやすさを実現するかを考え、自然界などで見られる「ヒダ」の
断面形状にしたそうです。その結果、箸の頭は「花」のような形となりました。この頭の色は、赤、茶色、グリーン、ライトブルー、白、ピンクの6色あります。私は赤とグリーンとライトブルーを買いました。これらを複数本、コップなどに立てておくと「花束」のように見えるので、「hanataba」と名付けられました。
さて、nendoといえば、今や日本を代表する世界的デザイナー(建築家でもある)、佐藤オオキ氏が率いるデザイン集団ですが、私は佐藤オオキ、nendoと聞くと2002年のミラノ・
サローネを思い出します。憧れだったこの見本市に私もこの年初めて訪れました。正式名称は「Salone del Mobile. Milano(サローネ・デル・モービレ・ミラノ)」。毎年4月にミラノで開催される世界最大の家具見本市です。6日間の会期で来場者は30万人以上。奇数年には照明器具の見本市・エウロルーチェ、偶数年にはキッチンの見本市・エウロクチーナも同時開催されます。そして「さすが、デザイン王国・イタリア」と懐の深さを思わせたのが,1998から始まった「SaloneSatellite(サローネサテリテ)」。事前審査を通過した若手デザイナーによる自主展示会場です。小さなスペースですが、若手デザイナーに格安で発表の場を提供し、今では意欲的なデザイナーの登竜門的存在になっています。
 
初めて訪れたサローネで、私も興味深々でサローネサテリテに足を運び、ぶらぶらと見て
いると、日本のデザイナーも何人が参加していて、「nendo」という名の日本人デザイナーグループのブースが目にとまりました。どんな作品を展示していたのか、何ていう名前の作品だったのかまったく覚えていませんが、なぜか「このグループとても面白い! オリジナリティがある! パワーがある!」と感じたことだけは鮮明に覚えています。確か、この年のサローネサテリテのアワードを手にしたのだと思います。後で調べてみると、佐藤オオオキさんと2〜3人、早稲田大学の理工学部建築家の大学院生のグループでした。大学の後輩だったのも(もちろん学部が違います)嬉しく思いました。

    その後、佐藤オオキさんは「引き出しの家」を発表したので、建築家になるのかな、  と思っていたら、デザイナーの道をいき(もちろん建築も手がけます)、「nendo」の代  表として「nendo」を大きく育て、自らも日本を代表する世界的デザイナーになりました  。その活躍ぶりは皆さんもご存知のことと思います。2006年にはNewsweek誌「世界が尊  敬する日本人100人」に選ばれ、2007年にはnendoが同誌「世界が注目する中小企業100社  」に選出されました。デザインした作品は数知れず。今年の東京2020オリンピック、パ  ラリンピックの聖火台もデザインを担当。現在は2024年運行予定のフランス高速鉄道TGV  のデザインを手がけているそうです。

    2002年にミラノで会った、というか見かけたときはまだ学生さんだったオオキくんも  もう40歳を過ぎたんだ。時が経つのは早いなあ。いやいや、まだ42歳。これからだ。頑  張れ佐藤オオキ! 頑張れ「nendo」。これからのますますの活躍に期待しています。私  は毎日、nendoデザインのお箸でご飯をいただきます。
2021.10.18

秋を感じる花が咲いてきました。
昨年は咲かなかったシコンノボタンが
今年は鮮やかな紫の大輪をたくさんつけています。
そして可憐なタイワンホトトギスも初登場

長かった夏もやっと終わり、秋たけなわの頃となりました。空気も食べ物も美味しく感 じられます。わが家の屋上ガーデンも秋の気配が漂ってきました。

  9月中旬、鉢植えの低木にピンクのつぼみがたくさんついているので、これは何の花のつぼみだろう、と便利なアプリ「Picture This」で調べてみたら、シコンノボタン。それで思い出しました。昨年はまったく花が咲かないで、ほどんど枯れた状態でした。もう処分してしまおうか、とも考えましたが、ダメ元で日の当たるところに植え替えたのでした。そしたら、今年はこんなにつぼみを付けてくれてーそう、シコンノボタンは日当たりが大切なのです。昨年は反日陰に植えてしまったのです。それで、花が咲かなかったのですが、日向に植え替えたら、見事に復活して、今年は9月下旬からたくさん花をつけています。

  シコンノボタン(ノボタン科・シコンノボタン属、別名スパイダーフラワー)は中南米原産の常緑低木。葉は対生で楕円。産毛で覆われ、ビロードのような手ざわりがします。花は五弁で鮮やかな紫色の大輪。オシベが長く飛び出しているのが特徴。南国原産なのに、なぜか和風の雰囲気が漂います。ノボタンは短いオシベが黄色で長いオシベが紫色ですが、シコンノボタンは長短のオシベが共に紫色です。このオシベが蜘蛛の足のように見えることから、スパイダーフラワーとも呼ばれているそうです。

    シコンノボタンの花言葉は、「平静」「落ちつき」「自然」「謙虚な輝き」だとか。  一日花ですが、花つきがよく、次々と花を開花させ、目を楽しませてくれています。そ  れにしても、シコンノボタンは必ず日当たりに植えなくてはいけないーいい勉強になり  ました。
シコンノボタンに水をあげて、ふと後ろを見ると、小さな、かわいい花が目に入りました。うちのガーデンでは初めてみる花です。薄い紫に紫のまだら模様が入った花でホトトギスに似ているけれど、少し小ぶり。調べてみると、タイワンホトトギス、という花でした。
 タイワンホトトギス(ユリ科・ホトトギス属)は台湾ではごく普通に見られる植物だそう。茎の頂部に枝分かれして、数個の花が上向きについています。花被片は6枚で、ラッパ状に開き、基部のふくらみがふたつに分かれています。私はこの花を植えたことがないので、飛び種で咲いたか、もしかしたら雀さんが運んでくれたのかもしれません。つぼみもまだたくさんついているので、これからも楽しみ。

 シコンノボタン、タイワンホトトギスと皮切りに、今後どんな秋の花が咲くのでしょう?上を見上げると、ピラカンサ(トキワサンザシ)の木に少し、実がついてきました。木の実をみると秋を実感します。また、今後の様子もお知らせしますね。
2021.10.11

モダニズム建築の巨匠・前川国男氏が手がけた
「東京海上日動ビル」が建て替えられることに。
新ビルの設計は、なんと世界的イタリア人建築家、
あのレンゾ・ピアノ氏!2028年度の竣工が楽しみ

9月最後の日、東京駅の前にある「東京海上日動ビル」を解体し、建て替えるというニュースを聞いて、私、2度ビックリしました。皆さんはどう感じましたか?

  えっ!あのビルはモダニズム建築の巨匠、前川国男氏が手がけた建築物。前川氏といえば、フランスでル・コルビュジエに師事し、帰国してからはアントニオ・レイモンドの元で学び、モダニズム建築の旗手として第二次世界大戦後の日本建築界を牽引した偉大な建築家。前川建築事務所から、かの丹下健三氏や木村俊彦氏が輩出しています。そんな前川氏が1974年に完成させた「東京海上日動ビル」。まだ築50年にもならないのに、本当に建て替えてしまうのでしょうか? これが1度目の、ビックリ!

  そして、2度目のビックリ!は、新ビルの設計をレンゾ・ピアノ氏が担うと発表されたことです。ピアノ氏は誰もが知る、世界的なイタリア人建築家。1998年に建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞しています。1937年生まれですから、今年84歳。まだまだ頑張っているのですね。

  30年以上前、北イタリアを3週間旅行したとき、ジェノヴァにも行きましたが、それは、当時は日本ではあまり一般的でなかったパスタ、ペースト・ジェノベーゼを食べたかったことと、憧れの建築家レンゾ・ピアノ氏の建築事務所がジェノヴァにある、と聞いたからでした。ホテルの人に「ピアノ氏の事務所はどの辺にあるのかしら?」と聞いたら、海を見下ろす山腹の段丘を指さして、「あの辺だよ」と教えてくれました。ジェノヴァで建築業を営む家に生まれたピアノ氏はフィレンツェ大学を経て、ミラノ工科大学を卒業しましたが、建築やデザインの中心地・ミラノではなく、故郷のジェノヴァに「レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップ」を設立しました。

  レンゾ・ピアノ氏は、世界各国にさまざまな魅力的な建築物を手がけていますが、私が印象深いのは、パリの「ポンピドゥ・センター」と大阪の「関西国際空港旅客ターミナルビル」です。リチャード・ロジャース氏と共同設計で建てられた複合文化施設「ポンピドゥ・センター」は、本来隠そうとする構造や設備などが外部にむき出しになった工場のような建物でとても斬新なデザイン。チューブ状のエスカレーターやカラフルなパイプがとても特徴的でパリの古い街並みに映えていました。このビルには、公共図書館、国立近代美術館、産業創造センター、映画館、多目的ホール、会議室、アトリエ、国立音響音楽研究所などが入っていますが、構造や設備を外に出したことにより、内部はフレキシブルな展示空間を実現しています。特に国立近代美術館は、ピカソ、マティス、シャガール、ミロ、ダリなどの作品をはじめとする100,000点以上の作品を所蔵し、金現代美術のコレクションとしては欧州最大、世界的にもニューヨーク近代美術館に次いで、第二の規模の美術館。見終わったとき、見応えの満足感を感じるとともに、とても楽しく、気持ちよく鑑賞できた覚えがあります。

  関西国際空港は、内外装はガラスが多く使われ、屋根は飛行機の翼をイメージした、なだらかな円弧状のカーブを描く形で、上空からみると「翼を休める鳥」を模した形に。1棟の建造物ですが、国際線と国内線の両方の運行に対応していて、年間2500万人の旅客処理能力があるそう。本館は下表の階層構造になっていて、垂直方向の移動だけで国内線と国際線を乗り継ぎできる導線になっています。また、国内線の出発・到着フロアの2階は、エアロプラザ、鉄道駅、立体駐車場とペデストリアンデッキで直結するなど、利用者のストレスが少ない同線を実現。その導線構造の設計は、さすがピアノ氏と思わせます。

  建て替える「東京海上日動ビル」は、これまで他に例のないレベルで国産木材を利用する計画。柱や床などの構造部分にも木材を取り入れ、「世界最大規模の木造ハイブリット構造」の高層オフィスを目指すと言います。建築家のなかには作品に顕著な特徴が見られる人もいますが、あえて特徴的なスタイルに拘らないピアノ氏。日本の木材を使って、どんな高層ビルを建てるのか、今からとても興味深い。完成は2028年度を予定。東京の建築に、そしてイタリア好き私としては個人的にも、大きな楽しみがひとつ加わりました。
2021.10.03

強害雑草と格闘した、暑い夏のお手入れ。
初めて挑戦したイングリッシュガーデン風
ナチュラルコーナーはこんな感じになりました。
優しい雰囲気は漂っているかな?

みなさん、大変ご無沙汰しております。ブログの更新、8月、9月と長い夏休みをとってしまいました。もう忘れられてしまったかしら?その間に、オリンピックもパラリンピックも終わってしまいましたね。

  でも、庭仕事は夏休みをとらないで頑張っていましたよ。特にこの夏はとても暑くて、雨が多かったので、雑草や虫が多くて、ガーデンのお手入れは平年より大変でした。うちはキアラという私の娘のような犬(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルのトライカラー)がいて、お庭で遊ぶのが大好きなので、除草剤や防虫剤が使えません。だから雑草や虫と戦いながら、花を育てたり、剪定をしたりしていました。

雑草といえば、私より背が高くなってしまった侵略的な強害雑草を4本も抜きました。どうしてこんなところに、こんな背の高い葉の束(グラジオラスの葉を大きくしたような葉)が生えたのかな?と思って調べたらセイバンモロコシという侵襲的な雑草で毒性もある、とのこと。早速、葉のまわりの土をシャベルで掘り、渾身の力で引き抜きました。もう一種類は、セイダカアワダチソウというスラリと真っ直ぐに伸びた茎に葉がついた植物。これも、植えた覚えがないのに、何でひょっこり現れたのかしら、と思って調べたら、群生する雑草で、日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれていることがわかりました。この雑草が3本も庭のあちこちに生えていて、これは大変と、やはり渾身の力で引き抜きました。これらの雑草を除去したら、ガーデンがかなりスッキリした感じになりました。

  さて、この雑草をどうやって調べたかというと、ご存知の方も多いと思いますが、「
 Picture This」というアプリです。スマホに入れて、ときどき植物の名前などを調べていたのですが、名前だけてなく、お手入れの方法や植物の特徴などの説明も書かれている便利もの。特に今回の強害雑草の発見には大いに役立ちました。このアプリがなかったら、放っておいたかも、と思うとゾッとして、本当に感謝。私のおすすめアプリです。
さて、6月20日のブログで、どちらかというと造形的な花が好きな私が、今年はイングリッシュガーデン風のナチュラルコーナーを作ってみようと、宿根草を何種類か植えたことをお知らせしましたが、その結果がこんな感じです。いかがでしょう? イングリッシュガーデンの風情は感じられますか?

  黄色い花はオオキンケイギク(キク科・ハルシャギク属)。「常に陽気」という花言葉をもち、観賞用の花の中では手入れがしやすく、ドライフラワーとしても使えますが、繁殖力が強いため、現在は特定外来種に指定されているとか。私も花が終わった後の処理をどうしようかと考えています。その他、オレガノ(一般名ハナハッカ・ハナハッカ属)、コバノランタナ(一般名セイヨウサンタンカ・ヘチヘンゲ属)、クサキョウチクトウ(ハナシノブ科・クロックス属)などの繊細でかわいい花が咲いています。ブロンズ色の葉の植物はアジュガ(シソ科・アジュガ属)。半日向〜半日陰を好み、私はこのリーフプランツは庭づくりに便利だと、結構よく使います。グランドカバーのダイコンドラ・アルゲンテア(ヒルガオ科・アオイゴケ属)はアメリカとメキシコ原産のツル植物。シルバーの葉が下向きにカスケードし、オシャレな感じを醸し出してくれています。
 
  初めてこのようなテイストのコーナーを作ってみましたが、優しい感じは少し漂っているかな?でも、もう一工夫必要だったかな?と感じています。来年、もう一度。挑戦してみようかしら? さて、今、秋〜冬のコーナーづくりを考え、花を選んでいます。また、追ってお知らせしますね。
2021.07.21

バチカン市国の国花。「受胎告知」に描かれている白ユリ。
ヨーロッパでは聖母マリアの象徴とされる、高貴なユリ、
マドンナリリーがたくさん咲いて、お盆でうちに帰って
きた母を温かく迎えてくれました

先週の13日〜16日は、東京ではお盆でした。お盆とは、正式には仏教の盂蘭盆といい、故人やご先祖さまの魂が、あの世と呼ばれる世界(浄土)からこの世(現世)に戻ってくる期間のこと。故人が生前を過ごした場所、主に自宅でお迎えして、冥福を祈るとともに霊魂を供養する時期とされています。私も13日の午前中に盆飾りをして、夕方、お墓に母を迎えに行き、屋上ガーデンのテラスで迎え火を焚き、母(母の霊)を迎えました。昨年の新盆のときもそうでしたが、この時期たくさんもユリが見事に咲いて、母を迎えてくれました。
ユリは20輪以上が咲いていましたね。うちのガーデンはユリと相性がいいのか、たいしたお手入れもしてあげていないのに、毎年この時期、たくさんの見事な花を付けてくれます。 大部分はマドンナリリーというユリ。テッポウユリに似ているのですが、花の奥行きがテッポウユリよりちょっと浅く、そして上部の葉が小さい感じ。花茎10cmほどの花は横向きに咲きます。花びらは6枚で、先はそり返ります。そんなに強くはありませんが、甘い香りが漂い、香水の材料としても使われているようです。草丈は1mくらい。古代から神聖な花として愛されてきたと言われますが、そんな高貴な雰囲気が花姿から感じられます。

 マドンナリリーの原産地はヨーロッパで、ヨーロッパでは古くから聖母マリアの象徴とされ、教会花として用いられてきました。バチカン市国の国花でもあります。和名は庭白百合(ニワシロユリ)。聖母マリアと天使が描かれている「受胎告知」の絵に描かれている白ユリ。当時ヨーロッパでは白ユリといえば、マドンナリリーのことだったそうです。その後
、日本のテッポウユリがヨーロッパに伝わると「聖母のユリ」はテッポウユリに置き換わってしまったそうです。マドンナリリーの花言葉「純粋」「無垢」は、清らかな聖母マリアのイメージに由来して付けられました。

 お盆は16日に終わり、私たちは送り火を焚いて母を見送りました。そしてたくさんのマドンナリリーも母を見送ってくれました。こんな高貴が花に迎えられ、見送られた母は幸せものです。来年もまたこの時期に母はうちに帰って来ますので、マドンナリリーさん、そのときはまた大勢で迎えてあげてくださいね。
2021.07.07

夏の花、ユリの先陣をきって、黄色いハカタユリが咲きました。
そして、どういうわけか、今年は季節違いのキク2種類も、
この時期花を付けました

夏の花の先陣をきって、6月下旬、ハカタユリが咲きました。うちのガーデンの環境とユリは相性がいいのか、地植えのものも、プランターに植えたものも、毎年たくさん咲いてくれます。毎年咲き終わったら、10cmくらい茎を残して切っているだけ。球根の掘り起こしもしないし、肥料を施したりもしないのに、毎年次から次へと花を付けてくれて、ユリには感謝の言葉しかありません。昨年はちょうど亡き母の新盆のときにたくさん咲いて、華やかなユリが母を迎えてくれ、母も喜んだに違いありません。

 ハカタユリは別名、イイウム・ブロウニー・ヴィリドウルム。ユリのなかでは静かで控えめな印象で人気があります。だからか、花言葉は調和の取れた時代、幸せな家庭だとか。日本のハカタユリは幕末から明治初期にかけて欧米で人気を博すようになり、アメリカやヨーロッパに向けて球根が輸出されました。最盛期には全世界の90%を日本産が占めていたそうです。ハカタユリは日光を好みますが、強すぎると、花や植物全体に悪影響を及ぼすこともあるとか。低木木のピカサンサの下に植えたのが(偶然ですが・・)よかったのかもしれませんね。主張しすぎず、静かに咲くハカタユリはほかの植物との相性もよく、バランスのよい花壇を彩ってくれます。
また同じ時期に、季節違いのキクが2種類咲きました。ピンクはアスター、別名エゾギク(サツマギクとも)。黄色いキクは、シマカンギク(別名、アブラギク、ハマカンギクとも)。
昨年までは、この時期にこのキクたちが咲いたことはないのですが、今年はどうして咲いたのかしら。これも、自然、ガーデンニングの面白いところですね。

 アスターは中国原産で、ヨーロッパに広まった後、現在では世界じゅうで植えられているそう。品種により、花の形は一重、八重、ポンポン咲きとさまざまで、花色も豊富。うちは濃淡のピンクが咲きましたが、白、黄色、赤、紫、オレンジ色もあるようです。ドイツの花占いでは、アスターの花びらをひとつずつ「好き、嫌い」と言いながら、むしっていき、最後が相手の気持ちになるとか。花言葉は、信頼に値する愛を追い求める、だそうです。私はこの花の種を植えた覚えはないので、もしかしたら、こぼれ種で咲いたのかも。スズメさんか蝶々さんが運んでくれたのかな?

 シマカンギクは日本国内に広く分布し、海岸や山地の崖などにも自生します。江戸時代んは長崎でこの花を油に浸したものをアブラギクと呼び、傷薬にしたそうです。花言葉は忍耐だとか。キクというと、秋のイメージが強かったし、昨年までも9月下旬くらいに咲いていたので、今年はどうしたのかしら? と戸惑っています。でも、やっぱり花が咲くってうれしい。花摘みをしながら、秋も咲いてね、と声をかけています。

 ユリのつぼみもたくさんついています。今年はグラジオラスも成長しました。力強い夏の花が楽しみです。イングリッシュ風花壇に、と植えた植物も少しずつ育っています。また、その様子もお知らせしますね。
2021.06.20

昨年の夏の花壇はカラーリーフの
コリウスで花壇を彩りました。
今年は、いろいろな宿根草を植えて
イングリッシュガーデン風を目指します

2月15日に植えた、ビオラやノースポール、スイートアリッサム・・・たちも3か月以上も目を楽しませてくれ、感謝、感謝。でも、もうそろそろ限界。夏の花壇に模様替えしなくては。今年はどんな夏の風景にしようかな?とずっと考えていました。そういえば、昨年の夏はどうしたかな? と思って写真を見てみたら、花は使わず、カラーリーフのコリウスでコーディネートしていました。初めて植えてみましたが、モダンで涼しげで、なかなかお気に入りのコーナーでした。

 コリウスはシソ科の一年草。カラーリーフのなかでも、育てやすく、初心者にもおすすめです。草丈は40~60cmくらい。キンランジソやニシキジソとも呼ばれ、シソ科らしい形の葉はカラーバリエーションも豊富。緑が勝るものから、赤い葉に黄緑色の縁取りが入るもの、緑の葉に赤い斑が入るものなどいろいろ。オレンジ色や紫色、黒など個性的な色合いのものも。私は地植えに使って見ましたが、寄せ植えの演出にもぴったり。ハンギングバスケットやコンテナに植えれば、花にも負けない艶やかな姿が楽しめます。赤やオレンジ色、紫色などを多くして、今年は秋のガーデニング素材にしてみるのも一案かとも考えています。
さて、夏の花壇。今年はなんとなくイングリッシュガーデン風にしてみおうかな、と思い立ちました。それで、ダイコンドラ、ヒトミソウ、スノウホワイト、カスミソウ、ベロニカ・スピカータ、クロックス・オレオール、アシュガ、エキノプレス、ロシアンセージ、コレオプシス、ジャスミナム・・・・などの宿根草をいろいろ植えて見ました。色はブルーとホワイトに少し黄色が入るかな、という感じをイメージしました。さて、これらの花々がどのように育ってくれるのか? 楽しみ半分、心配半分。ステキなイングリッシュガーデン風の花壇になることを祈りながら、毎日、お手入れしています。その後の様子もまたお伝えしますね。
今回は、寄せ植えやハンギングバスケット用に四季咲きのベコニアを選びました。ベコニアでも葉が緑ではなく、銅色のものをセレクトしたら、ちょっとアンティークな感じがして、なかなか味わいがあり、これは正解だったかなと満足しています。いかがでしょう。さて、これからは、ユリが咲いて来るかな。わが家のガーデンとユリは相性いいらしく、毎年たくさん咲いてくれます。その様子もまたお知らせしますね。
2021.06.14

「コム デ ギャルソン」の川久保玲さんデザインの
ブリキのイスの展示会。久しぶりにすてきなアートを
鑑賞して、エネルギーをもらいました。いいものを
見ると気持ちが豊かになります

私のワードローブの半分くらいが、プレタポルテブランド「コム デ ギャルソン」のものかな? というくらい私は「コムデギャルソン」が大好き。以前、表参道に事務所があったときは、構想が思うように浮かばない、原稿がどうにも進まない・・・そんなときは、よく事務所を抜け出して「コム デ ギャルソン」のお店に行きました。もちろん、いつもお買いものをするわけではありません。ただ、見に行くだけのこのほうが多かったけれど、このお店に行くと不思議に元気がもらえました。そして、今の仕事が終わったら、このTシャーツを買おう、あのスカートをゲットしよう・・・と楽しみを見つけて、事務所に戻り、再び机に向かったものでした。

 その「コム デ ギャルソン」の創設者であり、ファッションデザイナーの川久保玲さんがデザインしたイスの展示会が目黒・青葉台のギャラリーで開かれている、というので6月初めの日曜日に見に行ってきました。

 ファッションデザイナーの川久保さんは、1983年頃から約10年間ほど、家具をデザインした時期があったそう。ちょうど1981年にパリで開いた最初のショー「pirates」で旋風を巻き起こした2年後。自身初のブティックをオープンさせるタイミングで、イメージする家具が見つからず、空間設計の延長として自身でイスやテーブルをデザインし始めたらしい。もともとスタイリストだった川久保さんが撮影のためにイメージする服が見つからず、自ら服をデザインして用意したことが「コム デ ギャルソン」というブランドを始動させるきっかけだったというエピソードをもつ川久保さん。それを踏まえると家具の制作もごく自然な動機で始まったのではないでしょうか。
その10年間に川久保さんが発表した家具が40点ほど。でも、その既成概念にとらわれないデザインは、服と同じで、空間を一変させるアートピースとしての存在感も備えていた。その証拠にプロダクトとしての高い評価を得ており、パリ装飾美術館をはじめとする世界各国の美術館にパーマネントコレクションとして収蔵されているそう。今回。青葉台のギャラリー「LICHT」では、非売品である3脚のイスを展示。ある個人の方の所有品で、一般的には見ることができない貴重なイスだそうです。

 ギャラリーのコーナーに、点、点、点・・・と三角形に置かれていた3つのイス。いずれも、スズをメッキした薄鉄板―ブリキでつくられていました。「私の場合、家具をつくるのは創作意欲がわいたときだけです。一瞬のひらめきでいいな、と感じた素材や形を取り入れる、それがすべてですね」(ELLE DECO SOECIAL ISSUE 1992「椅子の本」の川久保インタビューより)ということですから、ブリキがよほど、川久保さんの琴線にふれたのでしょう。3点のうち2点のイスは座面が深いブルーにペイント。背もたれには、溶接しているところをのぞみ込むような四角い穴が空いていました。ブリキのイスというとおもちゃを連想していまいがちですが、川久保さんのブリキのイスは特異なフォルムでしっかりアートしていました。

 川久保さんのイスを見にくるなら「コムデ ギャルソン」の服を着てくればよかったと、イス見ながら後悔しました。私が持っている、あのワンピースであのイスに座ればオシャレかな? あのシャツとパンツで三角のイスに腰掛ければ絵になる・・・などと想像しながら、しばらく連想の時間を楽しみました。じっくり拝見して外にでたら、降っていた雨も上がっていました。やっぱりアートは楽しい。いいものを見るって、気持ちが豊かになる。目黒川沿いを歩きながら、日常からちょっと離れた時間をもてたことを感謝。明日に向かって、新しいエネルギーがわいてきました。
2021.06.06

野生のバラ、ロサ・アルカンサーナが満開に。
ミニバラでも、上品なピンクの華やかさは格別。
ガーデンの主役になり、目を楽しませてくれます

みなさん、ご無沙汰しておりました。その間にバラが満開になりました。バラといっても、うちは小さな庭なので、ミニバラです。ロサ・アルカンサーナという野生のバラ。バラ属イバラ科で、北アメリカの中部、アパラチア山脈からロッキー山脈の間に分布している品種だそうです。もう10年くらい毎年、見事に咲いて、目を楽しませてくれます。ミニでもやはりバラ。ひとつひとつの花は小さくでも、満開になると、その華やかさは格別。毎朝、リビングのカーテンを開けるのが楽しみ。鮮やかなピンクが目に飛び込んできます。

 よくバラは剪定が難しいと言われますが、私はバラの剪定はできません。それで4月12日のブログで紹介した丹川さんに毎年お願いしています。丹川さんは、こんなに切って大丈夫なのかしら?と思うほど、大胆にハサミを入れ、コンパクトにしてしまうのですが、実はそれが大切なのですね。「一度、小さくしたほうが、大きく育つのよ」と丹川さんは教えてくれましたが、本当にその通りで、年々、大きくなります。今は、これ以上大きくなったら、ほかの植物を植える場所が少なくなってしまい、庭全体のバランスが悪くなるのでは?と悩んでいます。今度、丹川さんに相談して、どうしたらいいか? 考えようと思っています。
それにしても、花の命はあまりに短い。もうそろそろ、バラも花の色が褪せて来ました。来週はトゲと格闘しながら、花摘みをしなくてはならないかな?そして、花壇のビオラも終わりになりそうなので(でも3ヶ月以上、頑張って楽しませてくれました)、ここに夏の花を植えようと思います。またその様子をご報告しますね。
2021.05.24

太陽の日をうけて鮮やかに咲き誇る「ゼラニウム」の仲間たち
丈夫で育てやすく春から秋まで楽しめます。うちの庭でも、
プランター、ハンギングバスケット、寄せ植え・・に大活躍。

先週は、まるで梅雨入りをしたような日々でしたね。でも私は、その晴れ間をぬって、庭仕事にとても忙しい1週間でした。花は咲くときれいで、とても嬉しいけれど、命はあまりに短い。うちはジャスミンはすっかり終わって、花柄の片付けと剪定をしなければならなかったし、テイカカズラも次々と花々は枯れていき、その花摘みも結構大変。雪をかぶったように白い花が咲いていたピカランサも花は終わり、トゲと格闘しながら剪定をしました。花壇に植えたビオラやノースポールも日に日に花は枯れ、その花摘みもしなくてはなりません。そうそう、ラベンダーの花も切りました。そんなこんなで、ガーデンのお手入れに結構な時間を費やしました。ガーデニングは体力勝負とつくづくと感じました。

 そんななかで元気を与えてくれたのが、鉢植えしたゼラニウムの仲間たち。なぜか昨年は咲かなかったペラルゴニウムも今年は見事に鮮やかなピンク色の花を咲かせ、ホワイト系が多いうちのガーデンの華やかなアクセントになってくれています。ペラルゴニウムは、フウロソウ科・テンジクアオイ属に分類される多年草。ゼラニウムのいくつかの園芸品種をかけ合わせたもので、一季咲きをペラルゴニウムというそうです。うちのペラルゴニウムは花弁の縁がフリルのように波打ち、大きく見え、見栄えがします。地植えにして上から見下ろすより、横からの角度で眺めた方が美しいかと思い、脚つきのコンテナに植えたり、鉢をガーデンテーブルの上に置いたりして楽しんでいます。
ヨーロッパの街並みを鮮やかに彩る花といえば、私はまず、ゼラニウムを思い出します。南アフリカ原産のゼラニウムは、乾燥に強く丈夫な植物。夏場でも多温多湿になりにくいヨーロッパでは栽培しやすいのでしょう。プランターや吊り鉢、ウィンドウボックスなどあらゆる場所で活用されています。

 うちでもゼラニウムを切らすことはありません。ゼラニウムはフウロソウ科テンジクアアオイ属の植物を交配してつくられた園芸植物の総称。かつてゼラニウムはゲラニウム属に分類されたそうですが、当時の属名を英語読みした「ゼラニウム」が現在も園芸名として残っています。太陽の光を受けて鮮やかに咲き誇るゼラニウムの花。春から秋まで楽しめる宿根草です。私はなぜか、地植えにはしません。プランター、ハンギングバスケット、寄せ植えとして大活躍させています。丈夫で育てやすく、花柄が枯れたらチョッキンと切れば、
またつぼみをつけて、ほぼ一年じゅう立派な花が咲く、まさにガーデナーにはなくではならない、貴重な品種です。色は赤(上の写真)・白・紫・ピンク(下の写真)そして斑入りもあるようですが、今、うちの庭には赤とピンクが咲いています。花言葉は、豊かさ、健康、愛だそうですが、私にとっては、包容力の大きな、頼りになる植物。園芸ビギナーにもおすすめです。